手作業といっても縫製業は、大きくくくれば手作業なのですが、普通縫製業は、大半がミシンを使った仕事で、極力、アイロン、針仕事を少なくして効率を上げるようにしています。しかし、当社では、そのアイロン、針仕事を重視して一つ一つの工程を、丁寧に作り上げています。中間工程のアイロンをきちんとしなければ、良い商品は決して作れません。しかしそれは、効率を考えるとものすごくよくないことです。たとえば裾のまつりでも、機械でやるのと手まつりでやるのとでは、何倍もスピードが違います。
しかし、手でまつることによって表面にひびきがでないので、とてもきれいです。またアイロンは、整えアイロンをするとしないのでは、出来上がりが全く違うのです。ボタンホールは普通、機械ホールですが、たいてい共布を使った玉縁ホールです。こう言ったことで、当社の手作業とは、より多くアイロン、針仕事に時間を費やして作り上げるということです。
当社は、どこどこブランドの立ち上げに協力し、成功に導いたというような実績はありません。しかし、当社は1社と２３年あまりの取引があり高い評価を受け続け、その後その会社が廃業となり、また次の会社とは１５年あまりの取引があり高い評価を受け続けております。そのことが当社の実績と考えております。
アイロンというのは、ジャケット縫製にとって最も大切なものです。それは、人の体というのは曲線からなっているので，服の曲線のくせをとるのが、アイロン技術です。それは、知識と経験でおこなうものです。ですから、一つ一つのところにそのアイロン技術が必要なのです。それなくしてきれいなジャケットは、ぜったいに作れないのです。
